抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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クロムは水圏では,酸化に対して安定なCr(III),あるいは,酸素酸として比較的に不活性なCr(VI)として存在するという,微量元素の中で特異な性質を有するが,その挙動は複雑である。筆者が提案したクロムの輪廻モデルの各過程について,外洋,沿岸,海底熱水域,河川,植物プランクトンの観測データに基づき,概説した。太平洋外洋におけるクロムはリサイクル型分布を示すが,水塊構造や栄養塩類との対応はなく,表層のCr(III)が粒子吸着し,あるいは生物に取り込まれた有機態クロムとして下層に輸送される一方,一部が酸化溶出してCr(VI)となるというプロセスが推定された。河川水中では,流下に伴い溶存Cr(VI)が低下し,粒状クロムという観測データがあり,粒子への取り込み除去が推定された。沿岸域でのクロム挙動は,陸と海底の影響を強く受け,外洋とは異なった挙動が見られた。