抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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汽水・沿岸域の各種のカニの分布が決定される機構,すなわち成体・親ガニの分布特徴が生活史の中のいずれの段階において決定されているのかを検討した。本論文では,生活史とくに初期生活史の知見がある程度揃っている本邦および外国産の7種のカニ類,アオガニ,タイワンガザミ,ガザミ,ノコギリガザミ,ヨーロッパミドリガニ,アメリカイチョウガニ,ラスバンマメガニを扱った。種によって成体・親ガニの分布を決定する機構は異なっていたが,その機構はメガロパ幼生が決定的な役割を担っているか否かで二つに分けられた。いずれの場合も,ゾエア幼生の浮遊日数と分散範囲が,また浮遊生活期と底生生活期の移行期であるメガロパ幼生の回帰と着底が重要な役割を担っていることが明らかになった。浮遊幼生であるゾエア幼生からも,また底生生活期である稚・成体ガニからも,形態的・機能的特徴が著しく異なっているメガロパ幼生の役割はとくに重要であり,これらの幼生の知見を整理し,各種のカニの分布の決定機構およびその異同の生態学的意義について議論した。(著者抄録)