抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
病院は患者に安心感を与え,快適で良質な医療サービスを提供するという使命を担っている。その使命と省エネ・コスト削減の要請が両立し得ることを示す病院が,高度・先進医療の拠点となっている広島市立安佐市民病院(南館:19,203m
2,北館:10,543m
2,病床数:572床)である。しかし,南館は30年,北館は18年が経過し老朽化が進んでいる。2007年には冷房機を巡って300件近くのトラブルが発生した。電力需要がピークであるため高効率ヒートポンプ(EHP)の導入は不可能とされていたが,省エネ支援を続けてきたエネルギー管理士(山武(株)社員)が「蓄熱槽や冷却塔,循環ポンプ類などの付帯動力が不要になることや,空調設計条件の余裕率を削ぎ,設備容量を現実的な規模とすることで,電力増加をかなり抑制可能」と試算し,EHPが導入された。EHP導入後の1年間の実績では重油が240kL削減でき,電力量の増加は僅かだった。EHPの導入により,スイッチ1つで細やかな室温管理が可能になるため,入院生活が快適になり患者のサービス向上につながった。空調機のほかにも,2008~2009年に,自然冷媒CO
2ヒートポンプ給湯ユニットの導入,ボイラの小型効率化,照明器具の高効率化,エレベータのインバータ化など,フル稼働している病院になんら支障なく,南館の大改修は成功裏に終わった。大規模省エネ改修の効果がでる2010年度末には,年間4,355万円の経費削減となりことが見込まれている。