抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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かつて足尾銅山として名をなした足尾山地に行くと広大な区域に裸地が拡がり,植栽を中心にした治山事業,崩れを防ぐ砂防事業が進められている。この裸地は足尾銅山の採掘・製錬の過程で生じたもので,近代日本最初の公害である足尾鉱毒問題の一環として位置づけられている。本稿では,鉱毒問題として足尾山地での被害,中でも山林の荒廃と松木の消滅に焦点を当てて論じた。はじめに足尾山地の近世と近代における山林被害を概観したあと,山林荒廃の原因として,森林の濫伐,野火,煙害について考察した。足尾山地の荒廃の理由として,単なる伐採(濫伐)では自然に回復したであろう。また,火災(野火)が原因で森林の生命が絶たれることは考えられない。伐採や火災に激しい人為が加わった,亜硫酸ガスを中心とする煙害がそれである。足尾の裸地化には煙害が徹底的に大きな役割をもっていたと考えられる。