抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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連載コラムである。15,16世紀にネーデルランドを中心とした北方美術が黄金時代を迎えた。その時の立役者の一人,ヒエロニムス・ボッスを紹介する。ネーデルランドの画家達は絵具を油質である亜麻仁油や胡桃油使用することによって新しい油彩画を描いた。北方美術はイタリア・ルネッサンスとは異なった美術表現を作り出した。ボッスの絵画を見た大半の人は,「奇妙きてれつな世界」「奇怪な幻想画」「ぞっとする絵」「突然変異の恐ろしい地獄絵」などと不可解な印象観と怖れの入り交じった感情を多く発する。ボッスの絵画表現は中性的社会から近世に変貌していく丁度狭間の時代にあった。ボッスの絵画性とは,キリスト教の聖書や伝承による内容をテーマとしながらも,画面の中に登場する人間も含めた奇怪な動物(例えば,爬虫類,巨大な鼠,二枚貝,巨大な魚など),昆虫類,ボッスの妄想,空想によって生み出された魑魅魍魎の生き物や化け物たちが,彼の瞑想的な天国や地獄の世界で世にも怖ろしい情景を演出している。