抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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不完全な化石から古生物を復元する際の,考え方・材料としての化石・手法・復元の妥当性検証について,例をあげて概説した。発見当初は甲殻類とされたアノマロカリスは,分類学的帰属に様々な意見があったが,保存の良い化石の形態特徴を基に,カンブリア紀最大の節足動物として認められた。単板類は原始的軟体動物として復元された後,類似する生き物が深海底から発見され,復元の妥当性が確かめられた。プレカンブリア代の微細な化石は炭素同位体やバイオマーカーなどの分析技術を駆使して分類群が認定されている。エディアカラ化石生物群のキンベレラは発見当初はクラゲの仲間とされた。近年,軟体動物とする見解もあるが,その中でも,砂岩底面に保存されているのが生物の腹側か背側かによって,復元像の解釈は異なる。化石周辺の放射状筋状痕は喫食痕と考えられている。優れた復元のためには,良い材料・分析技術・アイデアを含む手法の洗練が重要であり,周辺の科学領域を含めた知識と科学の方法論を身につける必要がある。