抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究では,不確実性を変動費(燃料費と運転維持費)として考慮した場合の原子力発電プラントの初期投資負担の減価償却がプラント建設とリプレースに与える影響を分析し,リプレースの意思決定に関する知見を得ることを目的とする。特に,初期投資負担平準化を図る制度が原子力発電投資の動的な意思決定に与える影響の分析を行うことである。減価償却を考えない基本モデルでの場合と減価償却や法人税を導入した場合のモデルを用いることによって,基本モデルが減価償却の節税効果分を過小評価しているということを示すことができた。ベースケースでの結果は平準化制度による減価償却方法が最も経済的であった。新規建設のモデルでは変動費の期待成長率,ボラティリティのパラメータの影響を分析したが,減価償却法による経済性の序列に影響を与えることはなかった。平準化制度の導入が現行の定率法に比べて有効であるということがいえる。新規建設モデルを拡張し,廃止措置の意思決定についてのモデル化を行った。不確実性が小さい場合にはその影響にほとんど差はなく,不確実性が大きい場合ではやや違いが現れたものの,新規建設の場合と比べるとその影響は小さかった。廃止措置のモデルでは,自社での積立によって廃止措置は取りやすくなるものの,オプション価値は低くなってしまうことがわかった。さらに,自社積立の影響は不確実性が大きいほど廃止措置の取りやすさと得られる価値の大きさのトレードオフの関係になっていくことがわかった。本研究のように現実の問題にリアルオプション理論を適用する場合には,投資主体によって不確実性や目的関数の価値が異なるということに注意する必要がある。