抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
水田畦畔において,オオバコは土壌流亡の防止,緑環境の維持の役割を担っている不可欠な植物の一種である。そこでは,畦畔管理としての刈取り作業が実施される。種子でのみ繁殖するオオバコにとって,刈取りは生殖成長・種子繁殖の制限要因となるが,現地では刈取後に幼植物の繁茂が観察される。これには表層土に存在する種子からの発芽・成長が考えられ,水田畦畔では種子の休眠性が弱いことが想定される。そこで,オオバコ種子の発芽特性を,水田畦畔を含む複数の生育地から採取した種子を用いて比較検討した。さらに,水田畦畔および踏み跡広場で生育しているオオバコから採取した成熟種子の季節的出芽特性を比較した。これらの結果をもとに,水田畦畔に生育するオオバコ種子の発芽特性を,刈取りに対する適応性の観点から検討した。その結果,水田畦畔から採取したオオバコ種子はいずれも90%以上の高い発芽率を示した。また,採種時期にかかわらず播種直後に速やかに出芽した。一方,踏み跡広場から採取した種子では,7月中旬に採取した種子は出芽率が低く,秋採取の種子は出芽に遅延がみられ,秋から初冬に採取した種子は播種直後には全く出芽せず,翌春に再出芽あるいは出芽するなど,種子出芽特性にかなり大きな季節変動が示された。以上から,水田畦畔に生育するオオバコの成熟種子は採種場所や採種時期にかかわらず,発芽好適条件下では速やかに発芽できることが判明した。このことから,オオバコは水田畦畔においては,刈取りによって既存植生が一時的に疎となり,地際の光強度が強まる条件で,湿潤な土壌環境を利用して速やかな出芽が可能である特性を有するものと推察される。(著者抄録)