抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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S. pyogenesは宿主の細胞膜を横断して(NAD)
+-グリコヒドロラーゼ(SPN)を転移するために孔を生成するサイトリシン(ストレプトリシンO:SLO)多量体を利用する。転移の機構は知られていないが,SLOまたはSPNが欠失すると細胞毒性と病毒性の両方が低下し,SLOが介在する転移(CMT)が発病に重要であることを示唆する。簡単なモデルはSPNの転移はSLO孔を通しての拡散により起ると予測するが,いくつかの観察では,プロセスは複雑であり,同系のSLO遺伝子とSPN遺伝子の突然変異体での共感染はCMTを復原できず,関連SLOのパーフリンゴリシン(PFO)はSLO
-変異体を補完できず,またCMTはSPNと他の連鎖球菌蛋白質を区別できることを示唆する。さらにSPNとSLOの特定のアミノ酸残基が欠失すると,それらの他の機能は変化しないが,CMTに対しては無能力になる。これらは,SPNとSLOはCMTにおいて活発な役割があり,SPNはSLO孔から受動的に拡散しないことを示す。SLO孔の生成をCMTから切り離せることは,孔の存在がSPNの転移に十分でないことを示し,孔の生成がCMTに必要かの疑問さえ生じる。PFOといくつかの他のSLOの三次元構造から,これらの蛋白質は類似のドメイン構造を持ち,同様な孔の生成機構を用いることが明らかになった。すなわち細菌は可溶性SLOモノマーを分泌し,孔の生成はモノマーが宿主の細胞膜に蛋白質のドメイン4を通して結合したときに開始する。その後モノマーは会合してオリゴマー構造の孔前複合体を生成する。最終的に各モノマーのドメイン3に配座変化が起り,3対のα-ヘリックス束が二つの膜貫通βヘアピンに変換する。この変換で孔前複合体が膜内に挿入し,機能性の孔が生成する。ドメイン3における突然変異は孔生成を様々の段階で蛋白質をロックする。本報で著者らは,ロックしたSLO変異体の類似集合を発生させ,それらをCMTにおけるSLO孔の必要性を査定するために利用した。孔を生成できないSLO変異体はSPNを転移する能力を保持した。さらにSPNの転移はアクチン重合の阻害後に起り,CMTはクラスリンが介在するエンドサイトーシスには依存せずに起ることを示唆した。なお変異体のSPN転移能力に拘わらず,それらの細胞毒性効果にはSLO孔の生成が必要であると指摘した。