抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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ここ数十年の北極域の地表付近の気温上昇は,全球平均のほぼ2倍であり,この特徴は「北極増幅(Arctic amplification)」として知られている。大気中の温室効果ガス濃度の上昇によって,北極域や全球の平均気温上昇が起こっているが,北極増幅の根底にある原因はまだよくわかっていない。積雪面積や海氷面積の減少,大気循環や海洋循環,雲量,水蒸気の変化の役割については,依然として論争が続いている。北極域での将来の急速な温暖化や海氷消失の可能性と影響を評価するには,近年の温暖化増幅をもたらしている過程のさらなる解明が不可欠である。本論文では,北極温暖化は一年の大半にわたって地表で最も顕著であり,主に海氷面積の減少と一致することを示す。対照的に,雲量の変化は近年の温暖化にそれほど強く寄与してこなかった。大気中の水蒸気含有量の増加は,部分的には海氷面積の減少に応じたもので,夏季や初秋季に大気下層の温暖化を拡大した可能性がある。近年の北極気温増幅の主原因は,海氷減少であると我々は結論する。これらの研究結果は,強い正の氷-気温フィードバックが北極域に出現して,さらに急速な温暖化と海氷消失の可能性を高めており,このフィードバックが極地の生態系,氷床の質量収支,北極域の人間活動に影響を及ぼす可能性があるという説を裏付けるものだ。Copyright Nature Publishing Group 2010