抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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日本には歴史的な石造建築物はあまり存在しないし,それらが彩色されていたという認識もあまりない。しかし,近世初期に築造された大名の廟建築には石造のもの(石廟)があり,その仕上げ装飾を観察できる可能性がある。そこで,石廟建築の彩色装飾に着目し,その顔料を分析して石廟の荘厳を考察し,石仏等の彩色と比較することにより,石廟建築の装飾の特徴の解明を試みた。福井県の足羽山付近に産出する笏谷石(しゃくだにいし)を用いた石廟またはそれと同じ様式の石廟が越前式石廟とされている。この様式で彩色が認められた石廟の顔料分析を行った結果,いずれも銅系緑色顔料と推定され,蓮華花葉文が描かれていることが判った。また,貝殻胡粉とみられるカルシウム系白色下地の上に,群青や水銀朱等の顔料で壁画が描かれた痕跡のあるものも見受けられた。このような荘厳は中世以前の石造文化財に見られる装飾材料とは,明らかに異なり,板絵に認められる材料と共通点が多いことが判った。