抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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熱量ベースで,2002年の世界エネルギー需要43万3000PJの11%をバイオマスエネルギーが占めているが,この大半は,開発途上国における薪炭など伝統的なバイオマスエネルギーである。他方,2006年の世界のエネルギー需要(50万PJ)に占めるバイオマス貿易は1010PJと需要の0.002%に過ぎないが,2004年から2006年のバイオマス貿易の増加率を見ると,伝統的な用材,チップといった間接貿易の量は9%増,エタノール78%増,バイオディーゼル350%増,木質ペレット100%増,パーム油100%増と大幅に貿易量を拡大し,次のような特徴が見てとれる;(1)世界最大のバイオエタノール生産国であるブラジルから,米国,日本へのエタノール輸出(2)東南アジア,南米から米国を経由した欧州へのバイオディーゼルの輸出(3)マレーシアからオランダ,英国へのヤシ油の輸出(4)カナダ,東欧,ブラジルからスウェーデン,ベルギー,オランダ,英国への木質ペレットの輸出。バイオマス貿易の場合,バイオ燃料の生産が開発途上国で行われるために,先進工業国では,その最終消費段階だけ,あるいは燃料の輸入だけに注目し,エネルギー収支の問題が考慮されなくなる。バイオマス貿易の興隆は,バイオ燃料を生産から消費への,供給から需要への問題と変化させ,先進工業国ではバイオ燃料のエネルギー収支がマイナスとなる可能性を論じる機会が失われつつある。再生可能エネルギーとして,バイマスを位置づけるためには,バイオマス貿易だけでなく,バイオ燃料の生産工程という供給面,特に開発途上国におけるバイオ燃料のエネルギー収支を重視すべきであると考えられる。