抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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菌根菌(arbuscular mycorrhizal fungi=AM菌)は,80%以上の陸上植物と共生する。AM菌は絶対寄生菌であるが,胞子は温度・水分条件が満たされると,自発的に発芽する。その菌糸は宿主植物の根が近くに無ければ伸長を停止するが,根が近くに在れば新たな菌糸を次々と分岐させて,菌糸を扇状に拡げていく。1970年代に,宿主植物の根から何らかの物質(BF)が分泌され,この物質が菌糸の分岐を引き起こすことが判った。2005年に筆者が,ミヤコグサの根分泌物から初めてBFの単離・構造決定に成功し,ストリゴラクトン(SL)類の一つ5-デオキシストリゴールと同定された。それまでに既知であったSL類の菌糸分岐誘導活性を調べたところ,全てに活性が見いだされた。5-デオキシストリゴール同定の時点では,SL類の合成誘導体であったが,その後ソルガム,トウモロコシ,パーメミレットで主要なSLであることが判った。SL類は4億年以上も前,植物が陸上に進出した時から,植物が自分の居場所を報せるために作りだした共生シグナルであると考えられる。生物の進化のずっと後で登場した根寄生雑草は,そのシグナルを傍受することで,寄生を成功させたのであろう。ストリゴラクトン受容系をターゲットとした共生・寄生のケミカルコントロール技術については,いろいろ考えられる。1)AM菌を利用して,植物の土壌養分摂取を高める。2)AM菌と共生した植物は,根寄生雑草の寄生が抑えられるという報告があるので,根寄生雑草の防除に使う。3)SLの合成誘導体には,根寄生雑草の種子発芽と幼根伸長を強く阻害する物質がある。これを用いて,根寄生雑草種子の自殺発芽を促す。