抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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ワサビには多種類の害虫が発生する。静岡県では古くからスジグロシロチョウ(Pierismelete)による被害が問題となっている。しかし,清流のかけ流しによって栽培されるワサビでは,下流域への農薬の流亡の懸念から化学合成農薬の使用が制限されており,実質的に無農薬で栽培されている。無農薬栽培は土着天敵の保護・温存にとってはむしろ好都合であることから,静岡県では土着天敵によるスジグロシロチョウの生物的防除法の開発が切望されている。土着天敵の利用に当たってはまず天敵相の把握が不可欠であるワサビ田におけるスジグロシロチョウの土着天敵についてはこれまでにも報告があるが,この報告は半世紀近く前のものである。この間,地域開発などによってワサビ田を取り巻く環境は大きく変貌していることから,土着天敵については改めて調査しておく必要がある。本研究は,静岡県のワサビ主要産地においてスジグロシロチョウの寄生性天敵を3年間にわたって調べた。伊豆地域におけるスジグロシロチョウの寄生性天敵はアオムシサムライコマユバチと昆虫病原糸状菌Eryniapierisのみであった。一方,安倍地域からは寄生性昆虫5種(アオムシサムライコマユバチ,キアシブトコバチ(Brachymeric lasus),マガタマハリバエ(Epicampocera succincta),ノコギリハリバエ(Compsiluraconcinnata)およびアオムシコバチ(Pteromalus puparum)と昆虫病原糸状菌2種(Isaria fumosorosea,Beauveriabassiana)が得られた。両地域を合わせ,8種類の寄生性天敵が得られた。