抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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松村任三(1902)の発表したLespedeza bicolor Turcz.var.intermedia Maxim.f.albiflora Matsum.はこれまでシラハギ(シロバナハギ)に当たるとされてきたが,原発表(Fig.1)を調べてみると,原著者の同定どおりヤマハギの白花品に当てるべきものと思われる。ヤマハギ白花品にはL.bicolor f.albiflora Tatew.が命名されたが,この学名はf.albiflora Matsum.の後続同名であるためf.niveoflora S.Akiyama & H.Ohbaに訂正された。学名はL.bicolor f.albiflora Matsum.が先行することになる。和名はシロバナエゾヤマハギとされているが,Matsumura(1902)はLespedeza bicolor Turcz.var.intermedia Maxim.をヤマハギと呼び,f.albiflora Matsum.に和名を与えなかったので,新たにシロバナヤマハギと呼ぶことにしたいと思う。Lespedeza bicolor Turcz.をエゾヤマハギと呼び,ヤマハギと区別する見方(例,大井1953,日本植物誌;前川文夫他1961,牧野新日本植物図鑑;大井・北川1992,新日本植物誌顕花篇)もあるが,今日では両種類を区別することはないので,エゾヤマハギはヤマハギの異名とするのが適切であると考える。L.bicolor f.albiflora Matsum.の発表は標本と産地の引用を欠くものであった。松村に次いで日本のハギを研究した中井「萩類の研究」(1927)は東大のハギ標本に基づいてまとめられたが,この論文中にf.albiflora Matsum.の標本は引用されていない。また,東大標本を詳しく引用したAkiyama(1988)の研究でもf.albiflora Matsum.の標本は引用されていない。われわれも2008年と2009年とに松村のタイプと同定標本を探したが見つからなかった。f.albiflora Matsum.の正体が混乱してきた原因は,松村以後の研究者がf.albiflora Matsum.のタイプも松村の同定したf.albiflora Matsum.標本も調べることができなかったためと思われる。...(著者抄録)