抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
1980年代の後半から19990年代にかけて急速に広まったモデル植物,シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)を用いて発生学や生理学,遺伝学など様々な研究がなされてきた。本概説では,シロイヌナズナのゲノム解読が現在の植物生物学および農業にもたらした影響について解説を行なっている。まず,シロイヌナズナのゲノムが最初に読まれた後は,それを参照することによって別の野生型のゲノムが比較的簡単に読まれるようになったこと,さらに次世代シークエンサーの登場により,ゲノム解読のコストが大幅に下がり次々とゲノムが解読されていることが説明された。さらにゲノムの解読により,マイクロアレイ解析や逆遺伝学的手法,TILLING法やT-DNA挿入変異体のカタログ化などが可能となり研究が大幅に進んだことが示され,それにより,他の植物種のけんきゅうにおいてもシロイヌナズナでの知見を利用することで研究が大幅に進んだことが解説された。シロイヌナズナでの研究が一段落し応用を見据えた研究が増えているが,依然としてシロイヌナズナの研究は全ての植物研究の基盤をなすものであり,おろそかにされるべきではないとの主張が示されている。本概説から,モデル植物であるシロイヌナズナが植物研究に与えた影響の大きさが解説され,また,今後も植物研究に重要な役割を果たして行くであろうことが示された。