抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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2月27日に南米チリでM8.8の大地震が発生し,翌28日には太平洋岸で津波が観測された。この津波と日本の津波対策につき考察した。はじめに,17年ぶりの大津波警報が発表され,各地の津波観測結果を報告した。次に,この津波警報に伴い避難勧告や避難指示が出されたが,これらの勧告や指示に対する実際の避難率は非常に低い状況(平均2.8%)を示した。津波の正体について正しい理解があれば避難できることを示し,津波の怖さを示す3例を紹介した。また,今回の津波に関して,津波の怖さの情報が十分に伝わっていない例として,第2波の前に避難所から自宅へ戻ってしまった住民が多かったことを示した。更に,日本の津波教育の教材である「稲むらの火」を紹介し,日本では戦前から戦後の教科書にのっていたが,スマトラ沖地震大津波の翌年に開催された世界防災会議で再び注目され,同地震で大津波を経験した8カ国の言葉に訳されて防災教育に使用されている状況を示した。今回の事例で,津波はあまり恐ろしいものではないと考える人が出たら,それが何よりも危険であり,被害が少なかったときこそ過去の教訓を活かすことの重要性を認識する必要があることを強調した。