抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
本研究は,政府開発援助(ODA)を通じた産業技術移転モデルを構築することを目的とする。そして,生産管理技術の移転を対象とする。生産管理技術は,日本で開発され普及された技術や手法が多くその中には,欧米企業において広く導入され成果を上げているものが少なくない。この点,日本として比較優位にある援助分野と言うことができる。また,生産管理技術は,企業規模や業種に関係なく,また国境を越えて適合するものが多く,その上,既存の機械設備のままで成果を上げることができ,更に導入コストが殆どかからないという特徴を持っている。この点から,生産管理技術は,特に,途上国の中小企業振興のために普及されるべき技術と言える。そこで,本論では技術移転モデルの素案を提示し,国際協力機構(JICA)が実施した二つの事例によりそのモデルの妥当性を検証した。その結果,チュニジア条件とアルゼンチン条件のいずれの実施結果をみても,生産管理技術の適用は,どのような業種にも,企業規模の大小に関係なく,また地域(国)を超えて,かなり有効であることが分かった。また,既存の機械設備のままで,生産性の向上,品質の向上(特に不良品の削減),コストの削減,納期の短縮が可能であることも確認できた。更に生産管理の技術や手法は様々あるが,その概念や導入の方法について高学歴者でなくとも理論的に理解しやすいものが多い。このため,生産管理技術の持つこのような特徴から,途上国の製造業の振興,特に中小企業振興のために,途上国政府は積極的に普及すべきであり,また,生産管理技術の豊かな蓄積を有する日本としては,比較優位にあるODAの対象分野といえると結論づけた。