抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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全国の高校教員を対象とする放射線教育に関するアンケート調査が,2009年8月に実施された。この調査では意見記述を求める4つの設問があり,これらについて多くの意見が寄せられた。学習指導要領の改訂によって,「基礎物理」だけでなく,「化学基礎」でも放射線・放射能が扱われることになり,放射線の学習分野が物理に偏る傾向が見直される可能性が期待され,物理担当以外の先生が放射線学習の必要性をどのように考えているか尋ねてみた。回答者のうち,化学,生物,地学を担当している先生の比率は,それぞれ,22%,21%,3%である。放射線学習の必要性については,化学の先生からは,原子の構造の学習で放射性同位元素を実際に扱っている,または扱いたいという意見が多かった。また,原子構造,原子核の理解だけでなく,科学史学習の必要性を強調する意見もあった。生物の先生からは,放射線の生物への影響及び放射線医療の重要性の指摘が目立った。ただし,人為的な突然変異などの悪影響が強調される傾向があり,自然に起きる変異などについての記述はほとんどなかった。地学の先生は,放射線年代測定の学習で既に取り扱っている,あるいは扱いが必要であるという意見が多かった。結果として,放射線に関わるリスクの扱い,外部支援,学習内容について直接伺うことができた。今後,新学習指導要領に基づく高等学校等における放射線教育をどのように支援していくかを考える上で貴重な判断材料が得られた。特に,放射線・原子力教育においてリスクという視点を取り入れようとするとき,教育現場には様々な問題があることが認識できた。