抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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鉄は海洋における重要な栄養塩である。海水中の溶存Feの安定同位体測定は,何が海洋へのFeのソースとシンクか,どのようにFeは生物学的に循環するかといった重要な生物地球化学的質問に答えることができる。海水中のFe濃度は非常に低く1nMより少ないことから,汚染の導入なしに海水からのFeを分離して精製し,抽出した少量のFeに関し正確にδ
56Feを分析するには顕著な課題がある。そこで,新しい技術を提示したが,そこでは,NTA官能基を有する樹脂へのバルク抽出による海水からFeを分離して精製し,アニオン交換クロマトグラフィを後に続けている。この方法は,Fe同位体のいかなる分別も引き起こさず1Lの海水試料から89%のFeを回収し,1.1±0.6ngFeのブランクを有する。少量のFeに対する分析法を最適化するため,δ
56Feの測定における様々な誤差源を解析した。標準と試料の個別分析に対し,内部誤差は,検出器への電子ノイズ(Johnsonノイズ),計数統計,装置のマスバイアスにおける短い時間規模のちらつきであると仮定した第三の誤差源からの誤差の結合によりうまく表される。天然海水試料で見出される少量の鉄により,誤差はJohnsonノイズと計数統計が最も重要である。著者らの解析はまた,精製後試料を異なる分析期間に測定した”中間”複製と,同じ元の海水カーボイから製造したが,別々に抽出し精製した試料に対する”外部”複製分析を含む。中間誤差から由来する全質量分析誤差の割合を,多数の分析期間で測定した一つの試料に対するδ
56Feでの分散と,各単独分析を構成する複数のサイクルに対するδ
56Feの内部分散を比較することによって求めた。著者らは,異なる分析期間の試料の複数の分析に対する誤差は内部誤差の1.06倍であり,同じ元の海水から別々に精製し抽出したFe試料の分析に対する外部誤差は,内部分析誤差の1.26倍であることを見出している。この誤差分析に基づき,海水中の溶存Fe同位体は,海水のたった1リットルからFeを別々に抽出し,ほんの短い分析において抽出したFeの全量を測定することにより最も良く測定されることを示唆する。この方法を用いて,海水溶存δ
56Feの測定に対する予測精度は,0.1nMと1.0nMの海水Fe濃度に対しそれぞれ0.2‰から0,05‰(2σ)の範囲である。(翻訳著者抄録)