抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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摩擦強度の進展は,基礎研究にも実用にも非常に重要である。その応用は,地震力学からハードドライブの読み/書きサイクルに及ぶ。摩擦強度は,すべり合う2つの物体を隔てる界面を形成しているひとつひとつの接触部からなる大きな集合体がもつ,せん断に対する抵抗によって支配される。界面全体の強度は,真の接触面積と接触部のせん断強度の両方によって決まる。ゆっくりすべる大きな物体の平均運動は,経験的な摩擦則によってうまく記述される。これに対して,界面強度は,分離/再付着などの高速過程と,接触面積の回復というゆっくりした過程の両方に本質的に関係する動的なものである。今回我々は,極めて短い時間スケールから長い時間スケールまで摩擦強度がどのように進展するかを,接触部の分離が起こる最初の数マイクロ秒から大きな(100秒)時間スケールまで真の接触面積と,それに対応する界面運動(すべり)の同時局所進展を連続測定することによって示す。4つの,互いに相関のある進展段階が特定された。まず,亀裂に似た先端部が通過すると,局所接触面積の減少はすべて数マイクロ秒以内に起こる。これに続いて,特性時間にわたる急速なすべりが始まる。特性時間の値は,すべりが起こる前の接触強度の減少が,破壊によって生じることを示唆している。この急速なすべり段階は,1桁遅い速度のすべりへの急な遷移で終わる。すべりが止まると,直ちに「時効」が始まり,すべりが止まる前の系の実効接触時間の局所的記憶によって決まる,特徴的な時間スケールで接触面積が増加する。本論文では,時効に通常伴う特異な対数挙動が短時間で中断される仕組みを明らかにした。これらの結果から,運動開始時の短い時間と速いすべり速度からすべりが止まった後の長時間の時効まで摩擦強度がどのように進展するかについて,包括的な描像が得られる。Copyright Nature Publishing Group 2010