文献

J-GLOBAL ID：201002246499700093   整理番号：10A0249026

(応用1)中性子回折およびX線回折による水素結合型誘電体の構造解析

(Applications 1)Structure Analysis on Hydrogen-bonded Dielectric Materials by Means of Neutron and X-ray Diffractometries

著者 (1件)： 鬼柳亮嗣 (東北大学多元物質科学研究所)
資料名： Radioisotopes  (Radioisotopes)
巻： 59  号： 2  ページ： 117-125 (J-STAGE)  発行年： 2010年 
JST資料番号： G0494A  ISSN： 0033-8303  CODEN： RAISAB  資料種別： 逐次刊行物 (A)
記事区分： 原著論文  発行国： 日本 (JPN)  言語： 日本語 (JA)

抄録/ポイント： 中性子とX線を相補的に利用して,水素結合型誘電体である5-R-9-ヒドロキシフェナレノン(R=メチル基,臭素;MeHPLN, BrHPLN)の研究を行った。中性子回折データからは原子核分布,X線回折からは電子分布を求めることができる。水素結合中の水素原子の原子核分布と電子分布を比較すると,二つの分布の重心が一致していないことが明らかになり,そこに局所的な分極が発生していることがわかった。その大きさは典型的な強誘電体であるBaTiO₃の分極と同程度であった。室温においては,水素原子が無秩序状態であることにより,この分極は方向に関して無秩序な状態にある。低温で実現するMeHPLNの反強誘電性は,水素原子の秩序化に伴う局所的な分極の反強誘電的な秩序化に起因することが明らかとなった。一方,BrHPLNでは,二つにわかれた電子・原子核分布となり,水素原子の秩序化は観測されなかった。これは,水素結合中の水素原子がトンネリング状態にあることを示唆している。MeHPLNとBrHPLNの相転移を,実験的に求められたパラメータのみを用いて,トンネリングモデルに基づき検証すると,それぞれの相図を非常に良く再現できることが示された。つまり,これらの物質の相転移はトンネリングモデルで説明できることが明らかとなった。(著者抄録)

シソーラス用語： *中性子回折 ,  *X線回折 ,  *構造解析 ,  *誘電体 ,  水素結合 ,  *トンネル効果 ,  相転移 ,  電子 ,  原子核 ,  規則化 ,  無秩序系
準シソーラス用語： トンネリング ,  水素原子 ,  秩序化

分類 (1件)： 中性子回折法  (BK01060A)

引用文献 (30件)：

• BLINC, R. On the isotopic effects in the ferroelectric behaviour of crystals with short hydrogen bonds. J. Phys. Chem. Solids. 1960, 13, 204-211
• TOKUNAGA, M. Theory of ferroelectric phase transition in KH_2PO_4 type crystals. I. Prog. Theor. Phys. 1966, 35, 581-599
• ICHIKAWA, M. The O-H vs OO distance correlation, the geometric isotope effect in OHO bonds, and its application to symmetric bonds. Act. Cryst., B. 1978, 34, 2074-2080
• ICHIKAWA, M. Correlation between two isotope effects in hydrogen-bonded crystals : transition temperature and separation of two equilibrium sites. Chem. Phys. Lett. 1981, 79, 583-587
• 市川瑞彦. 水素結合結晶における構造相転移と同位体効果. 日本物理学会. 1984, 39, 34-37

タイトルに関連する用語 (6件)： 応用 ,  中性子回折 ,  X線回折 ,  水素結合型 ,  誘電体 ,  構造解析