抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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日本の労働争議は過去20年にわたって減り続けており,2008年には100件あまりとなった。一方,個別労働紛争は増加の一途をたどっている。韓国も同様の傾向にあり,両国とも,個別労働紛争に関する研究が進められてきた。このような背景から,2010年に日韓共催の「個別労働紛争」をテーマとするワークショップが開催された。本報告書は,その報告論文を収録したものである。本稿では,現在,個別労働紛争に重要な役割を果たしている,コミュニティ・ユニオンの概要と事例について紹介する。コミュニティ・ユニオンとは,地域社会に根を持った労働組合として,誰でもメンバーになれる労働組合をいう。コミュニティ・ユニオンによる労働紛争解決は,労働者がユニオンに加入することから始まる。そして,ユニオンが会社に対し団交を申し入れ紛争を解決する。会社が団交に応じない場合などでは,労働委員会や司法機関を通じた解決を支援する。コミュニティ・ユニオンは,高い紛争解決能力を持っており,個別労働紛争で重要な役割を果たしている。しかし,労働審判委員会による調停制度が整えられた現在,ユニオンだけが個別労働紛争を行う時代ではなくなっており,紛争解決も競争の時代に突入している。この競争にどう勝ち抜くかが今後の課題となろう。