抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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ボース・アインシュタイン凝縮(BEC)は,低温・高密度でみられる,整数スピンをもつ粒子(ボソン)の基底状態への巨視的集積であり,低温原子気体や固体準粒子を含むいくつかの物理系で観測されている。しかし,最も遍在的なボース気体である黒体放射(空洞壁と熱平衡にある放射)は,この相転移を示さない。このような系では,光子の化学ポテンシャルはゼロになり,これは光子気体の温度が変化すると光子数が保存されないことを意味していて,低温では,光子は空洞基底状態を占めるのではなく,空洞壁に消える。理論研究で,BECの必要条件である光子数が保存される熱化過程(熱電子気体とのコンプトン散乱や非線形共振器構成における光子-光子散乱など)が検討されている。光子数が保存される熱化は,「ホワイトウォール」ボックスとして働く色素充填微小光空洞共振器中の二次元光子気体について実験的に観測された。今回我々は,この系で光子のボース・アインシュタイン凝縮を観測したことを報告する。空洞共振器ミラーによって閉じ込めポテンシャルとゼロでない光子の有効質量が得られ,この系は捕捉された大量のボソンからなる二次元気体と形式的に等価になる。光子は,色素分子との多重散乱によって色素溶液の温度(室温)まで熱化される。光子密度を増加させると,次の3つのBECの特徴が観測される。すなわち,光子エネルギーがボース・アインシュタイン分布を示し,広いサーマルウイングの上に大量占有基底状態モードがある。予想された光子密度で相転移が起こり,予測された空洞共振器形状依存性を示す。空間的に変位したポンプスポットについても,基底状態モードが現れる。観測された効果は,極端に弱く相互作用する低次元ボース気体の研究や,新しいコヒーレント紫外光源につながる可能性がある。Copyright Nature Publishing Group 2010