抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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変動帯は,大陸収束縁内部で数百キロメートルにわたって分布する地殻断片の集団からなる長寿命の変形領域である。地中海は,このようなテクトニクス環境の顕著な例となっている。この地域は,全体的なプレート収束とは独立に移動し変形するマイクロプレートのモザイクで,ヌビアプレートとユーラシアプレートの間の拡散境界を構成している。地中海のテクトニクスは,深く沈み込んだ背弧海盆,プレート内台地,隆起した造山帯として地表に現れている。現在ではこの地域の運動はかなりよくわかっているが,このような活構造の多くの力学的起源は議論の的になっており,地殻とリソスフェアの相互作用が原因とされることが多い。しかし,大陸内部では十分に立証されているマントル対流の影響は,変動帯では特に密接に関連しているはずであり,モデリングによりスラブの一貫性やリソスフェアの強度などの重要なパラメーターをしぼり込める可能性がある。本論文では,最近の高分解能地震波トモグラフィに基づいて全球のマントルの流れを計算し,浮力により駆動され,プレート運動によって生じるマントル循環が地中海に果たす役割を調べた。この地域で観測された動力学的地形とマイクロプレート運動の大部分が,マントルの流れによって説明されることを示す。さらに一般的には,マントル最上部における活動的な小規模対流は,北米コルディレラ衝突帯やヒマラヤ・チベット衝突帯など,ほかの複雑な変動帯の基盤にもなっている可能性がある。Copyright Nature Publishing Group 2010