抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
有機質肥料の効果解明への第一歩として,有機態窒素の無機化過程で必ず生成されるアミノ酸の植物による直接利用について,植物へのアミノ酸直接吸収と,吸収したアミノ酸の植物体内での利用経路について検討した。1.有機質肥料の植物別施用効果および有機態窒素の生育に対する影響の解析:(1)有機栽培がよく行われる植物について,数種類の有機質肥料の効果を調べるために栽培試験を行った。栽培試験の結果,有機質肥料の効果は植物の種類により大きく異なり,イネ,コムギ,チンゲンサイは有機質肥料の施用効果が高く,キュウリ,トマト,ピーマンでは低かった。また根系の発達も,地上部同様,植物や有機質肥料の種類で大きく異なり,特にイネとコムギでは有機質肥料を施用すると根系も非常によく発達した。(2)土壌の無機態窒素量と植物の窒素吸収量を比較すると,キュウリでは無機態窒素量と窒素吸収量に高い相関がみられたが,イネ,チンゲンサイでは相関はなかった。特に,有機質肥料施用区では無機窒素施用区より生育期間を通しての土壌の無機態窒素量が少ないにもかかわらず,イネの窒素含有量が多いという結果が得られ,イネが無機態窒素のみではなく,有機態窒素をも吸収して生育していることが示唆された。2.アミノ酸を単一窒素源とした栽培におけるアミノ酸の種類が生育に与える影響の解析:(1)タンパク質を構成するアミノ酸20種類を窒素源として,5種類の植物(イネ,コムギ,チンゲンサイ,ダイズ,キュウリ)を無菌的に栽培した。その結果,ダイズはアミノ酸の種類により,生育に大きな差は見られなかったが,イネ,チンゲンサイ,コムギ,キュウリでは一部のアミノ酸が無機態窒素と同等の生育を示す一方で,アミノ酸によっては強い生育阻害を引き起こすなど,生育に対して正負の大きな影響が見られた。イネ幼植物で無機態窒素以上の生育を示したのはグルタミンで,無機態窒素とほぼ同等の生育がアラニン,アルギニン,アスパラギン酸,アスパラギン,グルタミン酸,グリシン,プロリンで得られた。逆にトリプトファン,ロイシン,バリン,チロシン,メチオニン,システイン,イソロイシン,リジン,フェニルアラニンでは強い生育阻害が見られた。...(著者抄録)