抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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張力のみの負荷(モードI)による平面き裂の伝播は,一般に安定している。しかし,これにき裂先端に平行なせん断応力(モードIII)が加わると,き裂の伝播は一般に不安定になる。この混合モード(I+III)の負荷のもとでは,始めは平らであった親き裂が,最大引張応力の方向に向かって回転する一連の娘き裂に分裂する。この分裂によって,工学材料や地質学的物質に広くみられる,「槍の形をした」特徴的な模様を伴う階段状の破面が生じる。この不安定性の原因はほとんどわかっておらず,表面の粗さスケールを予測する理論もない。本論文では,三次元のき裂先端の発展を完全に記述する連続体の位相場法を用いて,混合モードI+IIIの脆性破壊の大規模シミュレーションを行った。このシミュレーションによって,平面き裂の伝播は,き裂先端のらせん状の変形に対して線形的に不安定であり,非線形的に発展して分裂し,手指状の娘き裂が複数生じることが明らかになった。さらに,平面き裂が発展する間に,娘き裂の成長が競合するためファセットがしだいに粗くなるが,これは非平衡成長現象にみられる手指状パターンの粗大化に非常によく似ている。我々は,力学的に起こりやすい不安定波長は,遠方場応力の不安定化効果と,進展領域のスケールでの凝集力の安定化効果との釣り合いに支配されることを示し,曲線き裂の新たな三次元伝播則を用いて,このスケールを理論的に見積もった。また,粗大化したファセットの回転角と,理論予測および入手できる実験データの比較も行った。Copyright Nature Publishing Group 2010