抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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国内外の溶融炉の通常運転時における放射性物質の廃ガスへの移行率,「溶融ガラスの漏えい」事故評価に用いられた移行率および固化ガラスを溶融温度にまで昇温させた実験から得られる移行率に関わる入手文献について概要を述べた。さらに,これらのデータを使用して計算した事故時の溶融ガラスからの移行率の結果を示した。今までの日本での設計基準事故評価においては,RuおよびCsについては1が用いられてきた。これらの値は溶融炉の通常運転時におけるオフガス系への移行率を参考に,さらに保守側に設定されている。通常運転時の移行率は,国内外の文献によれば,Ruで0.11~0.21,Csで4.8×10<sup>-3</sup>~3.8×10<sup>-2</sup>と報告されている。しかし,これらの移行は主として廃液が溶融炉内で蒸発から仮焼までの間に発生しており,溶融ガラスからの移行は小さいことが,文献結果から確認された。このため,加熱溶融したガラスが漏えい後冷却されるまでの間の移行率をGrayおよびWalmsleyらの実験結果である高温固化ガラスからの揮発性データを参考にして計算した。この結果,温度が降下することなく,瞬時に台車表面1m<sup>2</sup>上に広がりつつ漏えいが継続するという最も厳しい仮定のもとにCsの移行率として1×10<sup>-3</sup>,Ruの移行率として5×10<sup>-5</sup>,Srおよびマイナーアクチニド元素に対しては<10<sup>-8</sup>が得られた。これらの値はまだ安全裕度を有していると考えられるが,今まで用いられてきた値に比べれば現実に近づいた値である。