抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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1。インターネット制度の改革を目指したインターネット・ガバナンス(統治)の議論が,2005年ごろ,世界情報社会サミット(WSIS)を発端に盛り上がった。インターネットの制度管理における米国一国支配の打破が問題意識であったが,現実にはこれに代わる管理体制を見出すことができずに,国際的議論は2009年秋でほぼ終息した。しかし,議論自体が米国にとっては国際的圧力として機能し,結果としてドメインネーム・システム(DNS)の運営の透明化・公正化に寄与した。ただ,IP(インターネットプロトコル)アドレス関連制度(IANA機能)については,米国政府支配の究極的な実態に変更はなかった。2。現在のインターネット・ガバナンスの最重要事項は安全性の確保であり,これはインターネットの本質構造がもたらす不可避の問題である。3。インターネット・ガバナンスは多面的に確保される必要があるが,IP網部分に関していえば,インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)の影響力の大きさに対して規制の網が弱く,ガバナンスの視点での議論が不十分と思われる。さらに,グーグルなどのコンテンツ事業者に優位というIP網の構造変化に対応した政策形成も必要である。4。今後のインターネットの影響の広がりを考慮し,インターネットを中心にすえた総合的な情報法制も必要であろう。(著者抄録)