抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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ヒトがサル(類人猿)からいかに進化してきたのか,主に運動能力の向上に焦点にあててまとめた。サルからヒトへの分岐点である直立歩行を可能にした骨格の変化は,骨盤の幅広化である。それにより,腰椎領域を中心とした脊柱の可動域が拡大した。また,手の特殊化が主要因とする考えもある。ヒトは他の霊長類に比べ,拇指対向性がある・前腕の回旋運動範囲が大きい・肩関節の自由度が高い。手の運動能力は直立姿勢の上に成り立っており,手と上肢全体の運動能力が二足歩行に先行して表れ,上肢の運動のために直立姿勢が二次的に生じた可能性もありうる。チンパンジーと比較すると,ヒトの運動能力は圧倒的に優秀である。労働すなわち意識的な運動が,優れた運動能力を獲得させた源泉だったと考えられる。神経系の発達・脳の肥大化は,運動能力の向上とそのコントロールに関係したと推測される。労働と結びついた運動能力の進歩こそが人類進化の主因で,そのために発達した神経系の発達が,副次的に高次な精神作用を生み出したようだ。