抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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動物の群れから,自走する微生物,細胞骨格に至るさまざまな系でみられる集団運動の出現は,至るところにあり,関心を引く自己組織化現象である。構成要素に本来備わっている極性,秩序相への密度に依存する遷移,非常に大きい密度揺らぎの存在などのこれらの系の類似点は,パターン形成の基礎に普遍的原理が働いていることを示唆している。この考えに従って,あらゆる記述レベルで理論モデルが構築されており,微視的またはメゾスコピックなモデルでは,わずか数個の相互作用規則(単純なほうが好ましい)を用いて,局所的な力や相互作用が直接マッピングされている。また,流体力学的極限におけるより巨視的な方法は,系の一般的対称性に依存している。これらのモデルはすべて,多様なパターンが考えられる広いパラメーター空間が特徴的であるが,そのほとんどがまだ実験的に検証されていない。相互作用の複雑さや,既存の実験系のパラメーター制御が限られていることが,基礎となる秩序化原理の解明への大きな障害となっている。今回我々は,固定した分子モーターによって推進される高濃度アクチンフィラメントからなる平面形状の高密度運動分析での集団運動の出現を実証した。臨界密度を超えるとフィラメントが自己組織化して,クラスター,渦,相互接続する帯などのコヒーレント運動構造体が形成され,持続的に密度調節が起こる。これらの極性をもつネマチック構造体は,寿命が長く,構成要素より桁違いに大きい長さスケールに及ぶことがある。エージェントベース・シミュレーションによって補完された我々の実験的方法は,系の関連するパラメーターすべてを制御するものであり,基礎となる局所的相互作用に対して集合経路と解離経路のバックトラッキングが可能である。観察されたパターン形成とそれらの動態には,弱く局所的な整列相互作用が不可欠であることが突き止められた。したがって,提示した最小の極性パターン形成系から,幅広い種類の活性流体や自走粒子に出現する秩序に関して,新しい知見が得られるかもしれない。Copyright Nature Publishing Group 2010