抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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匂い物質結合蛋白質(OBP)は臭気物質と味覚受容体とともに化学信号の知覚に機能する。OBPをコードする遺伝子は昆虫のゲノム内で大きなファミリーを形成する。Drosophilaにおいて,OBP遺伝子レパートリーの進化は12の近縁種の全ゲノム配列の比較によってよく研究されている。その一方で,それらの発現パターンはDrosophila melanogasterでのみ知られている。2つのOBP遺伝子,Obp57dとObp57eはD. melanogaster種集団の進化の初期段階で遺伝子重複と,その後の互いの読み取り枠(ORF)配列の分岐によって生じた。melanogaster群内の大部分の種はObp57dとObp57eの両方を保持するが,一部の種はどちらかの遺伝子を失っている。このことは誕生と死のプロセスがObp57d/e遺伝子座の進化を左右することを示唆する。しかし,これら2つのOBP遺伝子の発現パターンが種間で分岐しているか保存されているかどうかは調べられていない。本研究において,筆者らは,レポーター分析,RNA in situハイブリダイゼーション,および定量的リバーストランスクリプターゼ-ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)法を組み合わせることによって,melanogaster群から選んだ種におけるObp57dとObp57eの発現パターンを調査した。D. melanogasterについてのこれまでの報告では,脚の化学感覚器における発現は調査した全ての種で観察されている。しかし,D. melanogasterとは異なって,口器の化学感覚器における付加的発現はObp57d/e遺伝子座のOBP先祖遺伝子を保持しているDrosophila pseudoobscuraを含む一部の種で観察された。この結果は,それらのORF配列と同じように,Obp57dとObp57eの発現パターンは近縁のDrosophila種間で実質的に分岐していることを示す。Copyright 2010 Elsevier B.V., Amsterdam. All rights reserved. Translated from English into Japanese by JST.