抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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オーステナイト系ステンレス鋼では,粒界腐食(ウェルドディケイ)など粒界劣化現象の克服が大きな課題である。本稿では,粒界での原子配列を低エネルギー構造に変化させ,材料中の対応粒界密度を高め粒界性格分布(GBCD)を制御する「粒界工学」を実現する方法として,著者らの加工熱処理法を適用した粒界工学の効果の例を紹介した。オーステナイト系ステンレス鋼の溶接熱影響部のウェルドディケイ領域では,低エネルギー粒界(対応粒界)は腐食され難く,高エネルギー粒界(ランダム粒界)は腐食されやすい。対応粒界密度を高める方法として,SUS316鋼を用い,3%の予歪後に1240K×72h焼鈍による加工熱処理によりに最高対応粒界密度86%を得た。粒界腐食抑制機構の例として,SUS304鋼の加工熱処理によってランダム粒界から多数の焼鈍双晶を発生させ,ランダム粒界を部分的に低エネルギー粒界構造に変化させ,ランダム粒界ネットワークが不連続化して粒界腐食の伝搬を抑制させ,高い耐粒界腐食特性を有することを挙げた。合わせて,TIG溶接したSUS304ステンレス鋼の母材と粒界工学制御材の溶接熱影響部断面を比較して,粒界工学による粒界劣化現象の抑制効果として腐食試験における腐食速度の差と光学顕微鏡写真を示した。