抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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土砂流出研究は,これまでは荒廃した流域を対称として行われており,森林流域や多雪山地を対象とした研究は少ない。本論は,多雪山地の例として,山形県真室川町の釜淵森林水理試験地の3流域において行われた,1997年から2007年までの10年間の観察結果の報告である。調査流域では,流出土砂のほとんどが7月末~8月のまとまった大雨によってもたらされたことがわかった。さらに,流域面積の小さい流域において,流出土砂量の多いことがわかった。土砂の生産は,流路内の堆積土砂,雪食堆積物末端や渓岸における雨水や流水による浸食が主因であると考えられた。大規模な出水期以外の土砂生産には,冬期~融雪期の凍結融解作用が卓越している時期に集中している。凍結融解作用による土砂生産は地面が露出している積雪前期あるいは積雪後期に限定される。積雪多い時期の土砂生産は,積雪層が傾斜方向に向かってクリープすることによる地表攪乱によって生産されることがわかった。