抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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代表的な湿地の植物であるヨシは,湿地以外の立地,例えば,水はけの良い台地上で生育していることはまれであるが,その理由はほとんど解明されていない。本研究では,ヨシの種子を,水はけの良い台地上に播き,その後の発芽,実生の生存,増殖によるシュート数の増加等を1年半にわたり追跡した。また1年目には実生を定期的に3回掘り出し,根を除く実生の平均乾量を測定した。台地上にある実験圃場を裸地化し,プロットを20設置し,その中にヨシの種子と,台地上の代表的な優占種であるススキの種子を離して播いた。20プロットのうち,半数を除草区とし,発生したヨシもしくはススキ以外のすべての植物を除去した状態に保った。残りの半数は放置区とし,すべての植物をそのまま放置した。これらのプロットの他,台地上の土を入れたポットを水没させた浸水区を設けて,そこにも両種の種子を播いた。ヨシは台地上で多数発芽したが,除草区でも放置区でも発芽直後から実生の数は減少し続けた。少数の実生は冬越ししたものの放置区では2年目の秋には実生はほぼ全滅し,除草区でも地上のシュート数に全く増加は見られなかった。実生の乾量は1年目の初夏の頃まで除草区でも放置区でも増加したが,その後は全く増加しなくなった。浸水区のヨシの実生の乾量のみ増加し続け地上のシュート数も増加した。一方のススキは,放置区除草区ともに,実生の乾量も,地上のシュート数も増加した。冬越しした2年目もシュート数は増加した。これらの結果から,ヨシは水はけの良い台地上では発芽はできるものの,長くは生きられないことが明らかになった。ヨシは除草区でも生育が良くないことから,他の種との競争だけが生育不良の原因ではなく,台地上の環境そのものもヨシの生育にとって好ましくないことが示唆された。(著者抄録)