抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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近年の東京大都市圏の空間構造とその変化については,とくに都市地理学と都市社会学において多くの研究が蓄積されてきた。しかしその多くは市区町村単位の分析であり,また空間的パターンの把握については不十分である。そこで本研究は,1995年と2005年の地域メッシュ統計を用いて,職業構成からみた東京大都市圏の居住の空間的パターンと変化を捉え直し,人口動態との関連でその背景を探ることを目的としたその結果,市区町村単位で分析した職業構成は,都市社会学の先行研究が指摘するセクターパターンから同心円パターンへの変化がある程度認められた。メッシュ単位での分析でも,東京都心から15km圏内と30km圏外の外周部については,これと同様の傾向が確認された。これは,東京都心部での住宅供給の増加によるホワイトカラー層の人口回帰を反映したものと考えられる。しかし,メッシュ単位での結果では,15~30km圏で鉄道路線に沿った放射状パターンがみられ,郊外では鉄道からの距離による職業構成の居住分化が強まってきている。これは,市区町村単位での分析では見いだせなかった傾向で,郊外住宅地の居住分化と社会的分極化が同時進行していることを示唆している。(著者抄録)