抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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CO
2は,地質学的時間スケールにわたって地球内部から放出されており,ケイ酸塩岩の風化と有機炭素の埋積によって大気から取り除かれる。この釣り合いは,居住可能な条件を確保する範囲内に温室効果の条件を安定させてきたと考えられている。この釣り合いに生じる変化は地形の起伏変化が原因とされており,大陸岩の風化と浸食速度の変化が有機炭素埋積の変動に重ね合わされて生じる。こうした変化に対する間接的で完全には保存されていない記録は,堆積速度の変動を通して,地質学的層序から得られる。近年(0~5Myr),全球的な堆積速度が4倍に上昇していることが広く観測されており,これを説明する全球的機序が必要とされている。考えられる原因として,隆起の加速と全球的な冷却が挙げられているが,浸食速度とこれと相関する風化速度が密接に関連しているため,その後に続くと予測されるCO
2減少の拡大は,むしろ全球的な気候変動の原因であった可能性がある。しかし,全球的には,見かけの堆積速度が増加しているように,隆起速度が至るところで増加することはあり得ない。さらに,過去の大気中CO
2の代理指標記録には,近年のCO
2濃度の大幅な減少を示す証拠はない。本論文では,この全球的な風化と浸食増加が実際に起きたか,そして堆積速度の見かけ上の増加が堆積記録の観測上の偏りによるものであるかどうかについて調べた。証拠として,海洋に溶解した
10Be/
9Be同位体系を,過去約12Myrにわたる風化の代理指標として再解析した。この代理指標は,新生代後期には風化フラックスが安定していたことを示している。これらの観測をまとめると,浸食の増加を示す明確な証拠も,海洋に流れ込む風化物質の一時的急増を示す明確な証拠も示されていない。したがって,削剥の増加とは異なる過程によって新生代の全球寒冷化が起こり,全球寒冷化は,空間的および時間的に平均した風化速度には大きな影響は及ぼしていないと結論される。Copyright Nature Publishing Group 2010