抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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東京都の内湾の環境基準点8地点で計測された水質データを解析し,東京湾の窒素汚染の実態を調査した。1977年から2008年の4地点で計測された全窒素濃度は2000年以降3地点で減少傾向にあるが,大規模下水処理場近くの測定点では増加傾向にあり,東京湾の窒素は下水処理水の寄与が大きいと考えられる。2008年度の8地点におけるCODの月変化は夏季に上昇する傾向にあり,植物プランクトンの影響と考えられる。また,過去30年間のCOD,窒素,リンの変化を調べると,全体的には減少傾向にあるが,2000年以降は横ばいの状況にある。東京湾では赤潮が年間で平均18回,日数で90日程度発生しているが,この傾向は改善されていない。さらに,全窒素を溶存態無機窒素と有機態窒素に分け,その濃度の経年変化を求めると,1970年代は溶存態無機窒素の割合が大きかったが,1980年以降有機態窒素の占める割合が大きくなっている。本報告では,COD,全窒素,全リンの平面分布の推移,2002年の洪水時の荒川河口付近の塩度,窒素,リンの鉛直分布,1985年以降の底生生物の出現状況などが示されている。東京湾ではCOD,窒素,リンの削減が行われてきたが,底質の回復に遅れがあり,底生生物が生存できる環境にはなっていないと結論された。