超小型飛翔機(MAV:micro air vehicle)の開発に昆虫の羽ばたき飛行を模擬する際に,機械的に実現可能な単純なモデルとして平板剛体翼を用い形状はマルハナバチの平面形状に相似とした実験を行った。昆虫の実際の羽ばたき運動は非常に複雑であるが,ここでは2種類の単純な波形でモデル化した。一つはフェザリング,フラッピングの角速度の時間波形を台形波とした場合と,正弦波形とした場合である。翼モデルはスパン100mm,厚さ1mmである。翼は変形が微小になるように設計し,剛体とみなせる。翼は2台のモータで独立に動かした。流体荷重,トルクは翼根元にとりつけたひずみゲージで測った。モデルは日本文理大学マイクロ流体技術研究所の回流式水槽に設置した。相似パラメータ,Reynolds数,無次元振動数,前進比の3種でこれを設定した。流れ場はPIVにより測った。遅延失速効果,回転循環,付加質量,後流循環についてそれぞれが流体力に与える影響を測定し,図示した。羽ばたき運動パターンを評価するためにフェザリング運動,フラッピング運動をそれぞれ3種の運動タイプにしてそれを組み合わせた実験を行った。その結果,フラッピング角速度の違いによる遅延失速効果の差が主たる原因であることを明らかにした。前進時の空力特性を明らかにし,PIV測定から翼周りの渦度場の3次元可視化画像を構成し,図示した。