抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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ヒ素全含有量は,日本列島の地殻上部では6.5~7.1mg/kgであり,主に楯状地からなる大陸地殻にくらべて2~3倍高いという特徴がある。地質別に見ると,火山灰,砂,砂礫,淡水成のシルトや粘土で1~10mg/kgであるが,陸成の茶褐色砂礫や海成のシルトや粘土は一ケタ高く10~25mg/kgを示す。岩石の場合,砂岩は平均5mg/kg,泥岩や頁岩は平均8~18mg/kgを示す。火成岩や変成岩はいずれも1~5mg/kgで岩種による差はほとんどない。一般の岩石(地層)中では,ヒ素は硫化物態(主に黄鉄鉱)または吸着態(吸着媒体は水酸化物,粘土鉱物等)として存在する。水圏におけるヒ素の濃度は,雨水,河川水,海水ともほぼ同様で0.0016mg/L程度を示す。地下水も類似した値を示すが,温泉や地熱水は一般的にヒ素濃度が高く,平均0.3mg/L,最大130mg/Lに達するものもある。一方,河川水に環境基準を超えてヒ素が含まれている例があるが,それはヒ素濃度の高い温泉水や鉱山廃水の混入による特殊な場合である。地下水のヒ素汚染事例は,特定の地域で比較的広域に認められてきた。その溶出機構は,黄鉄鉱の酸化分解による場合,吸着媒体である水酸化鉄の還元分解による場合,または吸着媒体からのヒ素の脱着による場合のいずれかで説明される。土壌調査のみならず山岳トンネル掘削ずりについて,公定法によるヒ素の溶出量試験・含有量試験が行われているが,得られた分析値は自然状態を反映したものと言えない場合が少なくない。その原因について,試験法における試料調整,重量・体積比,ろ過メンブランフィルターの孔径に関して問題提起を行った。(著者抄録)