抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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核エネルギーの平和利用である原子力発電と軍事利用である核兵器を区別し,原子力発電は核兵器を否定するものであるとの見方が強かったが,核エネルギー自体が「人類と共存できない」という発想の下では平和利用も軍事利用も大差がないので,平和利用か軍事利用かという対置をしないで,原子力という技術について考察した。戦時下の巨大プロジェクトだったマンハッタン計画において広島型原爆と長崎型原爆の製造のために建設された施設や装置であるウラン鉱山,精錬所,濃縮施設,原子炉,再処理施設およびロスアラモス研究所は,ロスアラモス研究所を除いて,全て平和利用でも役立つ。戦時という「好機」を利用し,プルトニウム爆弾製造のノウハウを全て入手した上で戦後の原子力政策展開しようと意図していた。民生技術は軍事技術よりも遥かに高い安全性を必要とするが,今日の原子炉も軍事技術だったマンハッタン計画時代と余り変わらない安全性で運転されているのではないかと考えられ,原子力はまだ危険な技術であり,軍事技術の不用意な民生利用である。日本の原子力技術は米国から出来合いの技術を購入したひよわな輸入技術であり,学術会議が強く求めた「自主・民主・公開」を無視したツケを今払わされている。軍事利用と平和利用はメビウスの輪であり,メビウスの帯は表と裏の区別はあるが,両者は連続的に繋がっている。