抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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山村地域に暮らす人々は,地域に根差して農林業を営んでいる。流域という単位でその役割を捉えると,中山間地域の森林や水田を管理する担い手であり,下流域の都市部は水源涵養機能や災害防止機能など森林や水田が持つ多面的機能の恩恵を受けている。しかし,山村地域は長い間,過疎化や高齢化が問題となっており,一部の集落は「限界集落」という言葉が示すように消滅の危機にある。もし,山村が消滅するとその地域の森林や水田が管理されなくなり,それらが持つ多面的機能が損なわれ,流域全体に悪影響を及ぼすことも考えられる。山村を存続・活性化させるために,国や都道府県は農林業や山村を活性化させる様々な対策を講じているが,山村の過疎化が解消されず十分な成果が上がっていない。したがって,これまでとは全く異なる枠組みでの新たな山村振興・山村定住に向けた対策が必要と考えられる。山村定住には雇用だけでなく「半業」の創出が不可欠であり,1カ月で3~5万円程度の収入を得られる「半業」を複数用意しそれらを組み合わせながら生計を支えて行くという仕組み作りが提唱されている。近年,NPOにより地域通貨を用い山村の産業(林業)と地域経済を活性化させる社会実験が行われた。本論文では,山村集落の再生を目指した「半業」と地域通貨を組み合わせた社会実験の事例を紹介し,そのことが山村と流域全体に及ぼす効果について検討する。(著者抄録)