抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本稿では,高度情報通信ネットワーク社会と呼ばれる現在において,情報通信技術のめざましい成果を踏まえつつ,プライバシーに大きくかかわる個人情報,個人データの今日的な問題点と課題について考えることにしたい。今日,わたしたちは,インターネットに接続しない日はないが,インターネットによって形成されるサイバースペースの全体が「商業的情報空間」にほかならない。そこにおいて,なにげない日常的なインターネット利用が生み出すサイバースペースでの生活行動記録に個人データが加われば,特定個人の人格構造を浮かび上がらせるプロファイリングがかなりの程度完成するのである。いまや着実に大きな市場を抱えるライフログ・ビジネスが育ちつつある。事業者は,ライフログを活用した付加価値の高いビジネスを展開できるし,そうしないと厳しい資本主義的競争に勝ち残れないのである。21世紀のデジタル・ネットワーク社会,高度情報通信ネットワーク社会においては,個人情報,個人データの蓄積・流通・利用は不可避であるし,それを「基本的人権」の名の下に阻止するというのは,市民の安心・安全で,円滑な日常生活の展開を阻害することになりかねない。しかし,個人情報の漏洩・流出が惹起するプライバシー侵害はできる限り避けなければならない。日本の個人情報保護制度はどちらかといえばEU諸国に近く,(プライバシー)理念重視型といえそうであるが,問題が発生すれば,業界等の自主的対応も含む個別的解決を図り,それを積み重ねるなかで必要不可欠な個人データの流通制御を実現してゆくという,どちらかというとアメリカ型の対応のほうが現代社会にはふさわしいように思える。