抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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鹿児島県には薩摩塔と呼ばれる石塔が存在し,その特殊な形状と石質から中国系石造物である可能性が指摘され,さらに浙江省産石材「梅園石」である可能性が指摘された。南さつま市坊津町の坊津歴史資料センター輝津館に保存されている薩摩塔の石材と,中国寧波省?州区梅錫村華興塘の梅園石について,偏光顕微鏡による観察,X線分析顕微鏡による元素の分布,高速X線回折装置による鉱物の同定,エネルギー分散型X線分析装置による微少な斑晶の主化学成分の分析,を行い,比較を行った。その結果,両者のすべての岩石学的特徴が同じであることが判明した。日本や韓国に梅園石と類似した凝灰岩層が存在するが,堆積年代や堆積状況が梅園石とは異なり,更に岩石学的特徴も異なっている。これらのことは,薩摩塔の石材として,中国寧波市に分布する凝灰岩が用いられたことを支持している。