抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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アルビダ(Faidherbia albida Del.)はアフリカのサヘール地帯や他の半乾燥地に広く見られる種属の木で,雨季に落葉し乾季になると葉を茂らせる。この独特の特性から,アルビダは雨期に栽培される作物との競合が避けられるだけでなく,乾季には家畜に飼料を提供するなど,アグロフォレストリーシステムにとって非常に有用な樹木として期待されている。アルビダは,成熟すると大きいものでは樹高は30mにも達し,胸高直径は2mに及ぶこともあるが,通常は樹高15~20mで胸高直径は1mほどである。樹冠は3~4.5mに広がっている。繁殖は実生繁殖であるが,初期生育が遅く,移植できる苗に生育するまで時間がかかるので,アルビダの初期生育を促進する育苗技術の確立が求められている。アルビダの種子の種皮は硬いので,発芽前の処理が必要である。発芽前処理として摩耗処理と硫酸処理を試みた。その結果,摩耗の強弱による発芽率の差は生じなかったが,濃硫酸への浸漬時間(30秒,15分,30分,60分)が長くなるほど発芽は促進された。また,最適な育苗条件を検討した。マメ科であるアルビダは根粒菌を着床し,窒素固定を行う。アルビダと共生する根粒菌はRhizobium属であった。根粒菌接種はアルビダの育苗促進に効果があった。アルビダ樹冠下土壌の養分動態を調べた結果,落葉後から土壌中の硝酸態窒素濃度は増加していたので,アルビダは雨季に落葉する特性と窒素固定によって樹冠下土壌の肥沃度を高める機能を併せ持つことからアグロフォレストリーに適した有望な樹種といえる。アルビダの利用については,農業面と環境面で期待されている。