抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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鳥取県立とっとり賀露かにっこ館の建設に関連して集められた標本と鳥取県立博物館の学芸員らにより収集された標本に基づき,日本海南西部鳥取県沿岸に生息するカニ類のリストを作成し,隣接する兵庫県および島根県沿岸に生息するカニ類標本もリストに加えた。その結果,鳥取県沿岸および兵庫県または島根県沿岸で記録された168種と,兵庫県沿岸のみと島根県沿岸のみで記録されたそれぞれ7種と3種を合わせて,合計178種のほとんどについて写真とともに,産地・個体数・雌雄・採集日・標本管理者のデータを記した。日本海沿岸の府県の中でカニ類の記録がもっとも少なかった鳥取県沿岸ではあるが,小型種にまで及ぶ採集努力の結果,既記録の2倍近くに増加した。磯から浅海に生息する種はその多くがいわゆる暖海系であるが,日本および近海に固有の種のほか,明らかに寒海系の種も含まれている。日本海から初めて記録されるのは29種に達し,その中にはタカアシガニのように生物地理学的に,あるいはヒメメナガエンコウガニのように分類学的に興味ある種が含まれている。日本海から記録されたカニ類は,既知の報告による266種(シノニムや無効名を除くと260種)に,今回新たに見つかった29種を加えて合計295種となる。鳥取県沿岸に生息するカニ類は,既記録93種(正確には87種)のうち,今回の調査で採集されなかった15種に,本報告での168種を加えて183種となる。これらの結果から,日本海南西部鳥取県沿岸およびその周辺に生息するカニ類相の特徴についても議論した。(著者抄録)