抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究では,エタノール発酵を特徴とするリンゴ粕混合サイレージ(APS)採食後の血糖値低下現象の再現性確認とそのメカニズム解明を目指して,性の異なるサフォーク種めん羊を用いて飼養試験を行い,APS給餌後の血中のグルコース,インスリン,グルカゴンおよびエタノール濃度の変化を追跡した。サフォーク種めん羊18頭(去勢雄,雄,雌各6頭)を供試し,ヘイキューブに加えて,配合飼料(対照区)あるいはAPS(APS区)を給与する2試験区に配置して,飼養試験を行った。去勢雄と雄を用いた試験1では,日増体100gに必要なTDN要求量をヘイキューブおよび試験飼料とから半量ずつ給与して6週間飼育後に,飼料給与の直前と給与1,2および3時間後に採血を行った。雌を用いた試験2では,維持に必要なTDN要求量を給与するI期と試験飼料のみを2倍量増量給与するII期を設けて(各期2週間),詳細な血糖値の変化を調べるために採血頻度を増加して検討を行った(給餌直前および給餌後15,30,60,90,120,150および180分)。試験1および試験2において,性別に係わらず一貫してAPS採食後の血糖値の有意な低下が認められた。同時に,APS摂取後の血中エタノール濃度の有意な上昇が認められ,エタノール上昇程度と血糖値低下の程度,さらにはAPSのエタノール含量との間に対応関係がみられた。しかしながら,APS採食によるインスリンおよびグルカゴンの血中濃度の変化は認められなかった。以上の結果から,APS採食に伴うエタノールの摂取が肝臓での糖新生抑制などを介して血糖値低下を引き起こしているものと示唆された。(著者抄録)