抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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千葉市中央区道場南から得られたTbコアについて花粉分析と5点の炭素年代測定を実施した。花粉分析は相対量(%)と絶対量(粒/g)の両方に対して実施し,深度4m以上の泥炭~シルト層に対しては5cm間隔で計55点の堆積物試料を分析した。その結果,4000~2000年前の縄文時代晩期~弥生時代からアカガシ亜属を主とする常緑~落葉の混交林が復元された。これに対して1500年前の古墳時代中期に大量の炭片とともにマツ属が急増し,自然林はほぼ消失した。またヨモギ属,アカザ科,ナデシコ科,アブラナ科など耕作雑草が増加し,人為的な火入れおよび台地上の畑作開始が示唆された。また低湿地の環境も同時期に大きく改変されており,1500年前以降の人為活動の大きさを裏づけた。Tbコアの研究意義は以下2つにまとめられる。(1)千葉市中央部における表層花粉試料(モダンアナログ)の代用とするための,自然状態の花粉群組成を得ること。(2)更級日記の作者・菅原孝標女の一行が平安時代に渡河したと考えられる当時の都川および「池田の池」の周辺環境を明らかにすること。分析の結果,都川河口域の自然植生に関する詳細な情報を得ることができた。また,当時の都川の河道および「池田の池」の存在に関して,自然科学の観点から肯定的な証拠を与えることができた。(著者抄録)