抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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作物中の糖やでんぷんを利用する第一世代のバイオ燃料に関するさまざまな問題点が明らかになるとともに,それらに対する注目は作物からセルロースを原料とする第二世代や微細藻類を原料とする第三世代に移行しつつある。しかし第一世代のバイオ燃料にもまだ改良の余地が多く,持続可能な実用化の可能性は残されていると考えられる。その方向性の一つは栽培技術の改善や品種改良であり,もう一つはバイオマスの地域利用システムの構築である。本研究は南九州地域で検討が進められているカンショからのバイオエタノール製造を中心とした地域バイオマス利活用システムについて,ライフサイクルアセスメント(LCA)の観点から環境負荷の分析と評価を行うことを目的とする。対象とした地域は鹿児島県鹿屋市で,同市のバイオマスタウン構想をもとに,地域バイオマス利活用システムとそれに対応する現状(Business as Usual:BAU)についてのシナリオを設定した。まずBAUシナリオでは,カンショは食用,でんぷん用,焼酎用に生産されており,焼酎工場の廃液のうち固形分は飼料の原料となるが,残りの液体部分とでんぷん滓は廃棄物処理されている。畜産業から排出された糞尿はコンポスト化された後農業生産に投入されるが,南九州地方でコンポストが過剰なため,北九州に輸送するシナリオとした。その他,利活用シナリオで生産される製品の代替プロセス(ガソリンや牧草など)が含まれている。一方地域バイオマス利活用シナリオでは,地域内の耕作放棄地を活用してカンショが栽培され,それを原料としたバイオエタノールが生産される。廃液は焼酎工場からの廃液と合わせてリキッド飼料の原料として利用される。でんぷん滓も固形飼料となる。バイオエタノール用カンショ生産には畜産廃棄物由来のコンポストが投入され,副産物である茎葉部は飼料とポリフェノールの原料として利用される。比較のため,北九州でのカンショ生産は化学肥料を用いて生産されるとした。農業部門のライフサイクルインベントリデータベースについては今回開発したNARO LCIを市販のデータベースと接続し,BAUおよび地域バイオマス利活用の2つのシナリオについて環境影響領域ごとに評価するミッドポイント型LCAを行い,結果の比較を行った。...(著者抄録)