抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究では,教員養成課程学生を対象として,タンポポの継続観察を課題として課し,その前後におけるタンポポに関わる自然事象への気づきの変化から,長期観察の効果について検討を行った。なお,「自然事象への気づき」の分析にあたっては,アースシステム教育(Earth Systems Education)の七つの視点を用いた。その結果,次の知見が得られた。(1)「自然事象への気づき」の得点化を行った結果,継続観察の前後で,「自然事象への気づき」の得点の平均点が3.1から約2倍の6.0に有意に増加した。(2)学生の「自然事象への気づき」に関する七つの視点で分析した結果,観察前後とも「地球システム(生物圏,岩石圏,水圏,大気圏)関連への気づき」と「自然事象の時間的変化への気づき」の二つの視点への気づきが,観察前はそれぞれ55%,40%,観察後は50%,48%と全体の95%,98%を占めた。(3)科学的な根拠に基づいた「地球システム(生物圏,岩石圏,水圏,大気圏)関連への気づき」の中で「水圏,大気圏に関連する天気や気象に関する気づき」の回答は,観察前の22%から,観察後は38%と増加した。また,科学的な根拠に基づいた「自然事象の経時的変化への気づき」の回答は,観察前の17%から,観察後には81%と増加した。以上の結果から,タンポポの継続観察によって,自然事象の因果関係や経時的変化に関する気づきが7~8割の学生に促されたことが明らかになった。他方,自然事象の中で地球システム関連への気づきに関する能力については,水圏や大気圏など天気や気象に関する気づきが4割程度の学生にしか促されていないこと,生物圏の生態や形態に関する気づきが1割程度であること,岩石圏など土壌などに関する気づきがないこと,その他の視点についてはほとんど気づきがないこと等の課題が残ることも明らかになった。(著者抄録)